グリストラップとは
業務用厨房に設置する設備。
油脂や生ごみなどを含む汚水・排水を一時的に溜めて分離させる役割を果たしています。
調理による汚水・排水を下水に直接流すことで発生する水質汚濁・汚染を防ぐためのもの。
建築基準法・下水道法・水質汚濁防止法、保健所の営業許可基準で、全ての厨房にはグリストラップの設置が義務付けられています。
グリストラップ清掃の重要性
調理油、調味料、細かい食べくずなどが溜まります。
こうして溜まった油脂汚泥は「スカム」「スラッジ」と呼ばれどんどん堆積されます。
グリストラップの底に沈殿したスカム・スラッジは産業廃棄物となり産業廃棄物収集運搬業者を介して適切に処理しなければなりません。
これに違反すると、事業者と運搬業者の双方に刑罰が科されます。
さらにグルストラップに溜まったスラム・スラッジで排水溝・排水管に詰まりや破損が起こると、数百万円の高額な修繕費が発生します。
繊維質、油脂質、細菌などが浮上して水表面にできる厚みのあるスッポンジ質の泡を示す。
スラッジ
グリストラップの底部に沈殿・蓄積する汚泥を示す。
グリストラップ清掃を怠ることで発生する問題
最初はただの水と廃油が溜まった槽でも、放置するとスカム(油脂汚泥)となり、悪臭や害虫、そして排水管の詰まりの原因となります。
ここまできたら清掃や衛生管理に大きな手間と費用が掛かります。
衛生問題
清掃を怠ると害虫が発生してしまいます。
厨房や排水管・排水溝・排水槽は害虫の温床です。
1)厨房での害虫発生
スタッフのモチベーション低下、提供するメニューにも混入する可能性があります。
また、雑菌を持った害虫が厨房を歩き回ることで、調理環境全体が不衛生になってしまいます。
2)客席での害虫発生
フロアや店内を動く害虫を発見されたら、そのお客様はよほどの理由がない限りリピートはしないでしょう。
当然悪評も広がります。
害虫は悪臭よりも大きなインパクトとなり、経営に大きな打撃を与えかねません。
3)店外での害虫発生
不衛生な繁華街としてのレッテルが貼られます。
ごみの周囲に害虫がいる様子が目撃されたら、潜在的な顧客も取り逃がしてしまうでしょう。
4)食品から食中毒発生
コレラ菌・O157などの病原性細菌、ノロウイルスなどの病原性ウイルスに起因した食中毒の発生は経営悪化だけでなく、損害賠償責任など社会的に見ても大きな問題に発展する可能性があります。
ゴキブリ・チョウパエ・蚊・ネズミ
発生する主な病原菌
コレラ菌・赤痢菌・ペスト菌・O157・レジオネラ菌・ノロウイノレス
悪臭問題
グリストラップを原因とする悪臭は、腐敗臭や生ごみ臭、魚などの生臭さが入り交じった強烈なもの。
厨房にこもるばかりか、客席や店外まで漂ってしまう威力を持っています。
1)厨房での悪臭発生
職場環境が悪化しスタッフの作業効率やそチベーションが下がります。
調理のクオリティが落ちたり人員が離職したりするリスクがあります。
2)客席での悪臭発生
一度悪臭を感知されたら、そのお客様がリピートする確率は急降下します。
悪評も広がり、売上低下を招きかねません。
3)店外での悪臭発生
近隣や店舗から苦情が入り対応に追われます。
通りすがりの人にも感知されてしまうため、エリア全体のイメージ低下が起こり、集客が低下しかねません。
「ハイモアリアラ」を使った解決策
焼成カルシウムの殺菌洗浄消臭効果により、グリストラップ槽内の環境維持・改善が図れます。
グリストラップの問題を解決するためには日頃の清掃作業が不可欠です。
ハイモアリアラを使っても、その清掃作業をなくすことはできませんが、その負荷を大きく軽減することができます。
くさい・きたない・きつい、という3Kイメージが強いグリストラップの清掃ですが、におわない、きれいになる、きつくないと従業員の方々に感じていただき、バックヤードの環境改善につながります。
衛生対策
ハイモアリアラの殺菌作用により、害虫の発生や異臭の発生を防止(脱臭作用)、大腸菌等の病原菌類の繁殖を予防し厨房内の衛生管理に役立ちます。
環境負荷軽減
ハイモアリアラは、水分と反応してアルカリになり脂肪酸と反応して一種の石鹸を作ります。
その石鹸は今度は別の汚れを落とします。
また、タンパク質のアミノ酸を切り離したり構造を変化させて槽壁へのしがみつきを弱めます。
よって、油をさらさらにし廃棄量を減らします。(産業廃棄物処理の低減)
清掃負荷の軽減
ハイモアリアラは、60L槽に100g浸けて置くだけ2か月維持します。
油をさらさらにするので、清掃間隔を長期化でき、清掃作業も楽になります。
また排水管へ付着閉塞せず、予期せぬ費用が掛かりません。
ハイモアリアラの効果
1)衛生的(悪臭・害虫の発生を抑える)
2)環境貢献(環境への悪影響がない)
3)効果の持続性(定期清掃後効果が持続できる)
4)配管閉塞予防(排水管の詰まり予防・対策ができる)
5)安全・安心(人体や周辺機器に影響がない)
6)清掃負荷の軽減(清掃への抵抗を軽減し、清掃間隔ものばせる)
衛生的
殺菌効果、脱臭効果、タンパク質分解効果で仕切り版、壁面の油脂、黒カビなどの汚れが落ちやすい。
また、アルカリ効果で槽内のpHが高い状態で維持するため、廃油が付着しづらくなり(界面活性効果)、衛生面の持続効果をもたらします。
環境貢献
廃油が排水途中で油と水に分離せずに石けん水として河川、海に流れるため自然生態維持に貢献できます。廃油は脂肪酸に分解され、河川、海に流れ出しても魚、微生物の餌となるため自然環境を保全できます。
排水管などの有害物質を浄化しながらpHも低下し、河川に流れます。
効果の持続性
槽内のハイモアリアラは、60L槽100gで2ヶ月間槽内環境を維持し、油脂が槽内に付着しづらくなり次回の清掃負担が軽くなります。
配管閉塞予防
石けん水を排水管に流すので油脂が付着しづらくなります。
付着している油脂は徐々に除去されます。
安全・安心
人体への影響及び周辺機器への影響がなく、槽内にハイモアリアラを入れるだけで石けん水が生成されます。
石けん水は脂肪酸であり水生生物の餌になるほどで、人体に影響はありません。
また、抗酸化作用があり周辺機器に悪影響を与えることもありません。
清掃負荷の軽減
ハイモアリアラは、60L槽100gで約2ヶ月使用できます。
グリストラップが衛生的になるため、清掃への抵抗感を軽減できます。
また、衛生効果が持続するため、清掃間隔を伸ばすことができ、清掃負担が軽くなります。
グリストラップの清掃マニュアル
毎 日
バスケットに溜まったごみくずや浮いた油脂(ラード)は毎日
清掃すること。
週1回
浮上した油分やごみは1週間に1回除去清掃すること。
月1回
グリストラップの底に沈殿した汚泥は1ヶ月に1回、除去清掃すること。
取り付けられたバスケットは毎日清掃、槽内に浮いた油は週1回の清掃、底に沈殿した汚泥は月1回の洗浄・掃除が義務付けられています。
雑菌の繁殖を防ぎ、衛生的な厨房環境を維持する為です。
しかし、多くの厨房では満足にできていないのが現状です。
くさい・きたない・きついというスタッフにとって避けたい3Kですが、放置することには大きなリスクがあります。
グリストラップは、油脂を直接下水に流すと環境破壊につながるため、法律によって設置が義務付けられている設備です。
「見たくない、触れたくない」「ちょっとぐらい大丈夫j と目を背けていると、そのしっぺ返しは自分たちに還ってきます。
ハイモアリアラの使い方
1)まず漕内を清掃する。
2)槽内が3つに分離されている場合は、油脂が貯まる第2槽にリアラを入れる。
水量が少ない場合でも必ず浸漬できる(水に浸かる)位置に設置してください。
3)有効期限は、2ヶ月を目安とする。
4)次回清掃時期に槽内環境の変化をチェックする。
臭い、菌数、油分等をチェックし、水量により今回設置リアラの量が足りない場合は増量してください。
5)即効性を出すには、調理場等川上からハイモア希釈水を流し込む。
殺菌洗浄消臭効果が即効性を示します。
ハイモアリアラによるグリストラップ水質改善事例
検査の期間 | 60L槽のグリストラップ槽 | ||||
リアラ投入量 | 厨芥衛生管理特許製品(リアラを2槽目に500g投入) ※油脂量が多いためリアラ増量 |
調査・検査項目等 | 投入前の検査 | 評価 | リアラ投入後の検査 (2ヶ月後) |
評価 | |
厨芥残渣の状況 | グリストラップ槽 残渣の状況(第1槽) |
残渣は厨芥に満杯 鉄製の上蓋一杯で残渣が溢れだしている状況 |
× | 残渣は厨芥容量の90%程度 | × |
業態特有の状況 | 第1槽目だけでなく、第2槽目は約25mm、第3槽目でも約25mmの赤褐色油膜で上部が堆積している状況(ラー油の体積と判断される) | △ | 浮上油性分の回収清掃についての法令上の作業は未実施 | × | |
臭気(人体通常感覚) | する、但し客席に及ばず | × | せず | ○ | |
環境省基準 | pH濃度5.8以上8.6以下 | 4~5 | × | 7~8 | ○ |
フッ素遊離8mg/FL以下 | 9mg/FL | × | 1.5mg/FL | ○ | |
科学的酸素要求量 (COD)愛知県基準 160mg/1L以下 24.5.1施行基準 |
185mg/1L | × | 110mg/1L | ○ | |
一般細菌 | 1,400,000個/ml | × | 100個/ml | ○ | |
大腸菌群3,000個/cm3以下 | 350,000個/ml | × | 0/ml | ○ | |
大腸菌 | 90,000個/ml | △ | 0/ml | ○ | |
ノルマルヘキサン含有量30mg/L以下 | 12mg/1L | ○ | 陰性 | ○ | |
MRSA | 陰性 | ○ | 陰性 | ○ |
○:問題なし △:運用等に課題 ×:不適、要改善
O157、ノロウイノレスについては、厨芥機器、まな板、食材、調理器具検査等が別途必要
下水排水基準に適合しない水を流すことのリスク
適合しない水を流した工場、事業者は下水道法第46条の2に基づき処罰される事があります。
この基準に適合しない水を流すおそれのある工場・事業所に対しては、下水道法第37条の2に基づき、特定施設の改善命令したり、特定施設を使うことや、さらに公共下水道へ水を流すことをやめるよう命令することもあります。
下水道法第38条第1号第1項に基づき、水質改善命令、公共下水道へ水を流すことを一時停止するよう命令されることがあります。
グリストラップにかかわる法律
建設省告示第1597号 改定建設省告示第1674号
レストラン、ホテル、食堂、給食センターなど全ての厨房には、グリストラップの設置が義務付けられています。
下水道法第12条 下水道法第37条の2
全ての業務用厨房から排出される汚水は、直接公共の下水道に排出するものではなく、グリストラップ内で浄化してから排出することが義務付け
られています。
飲食店排水の水質基準
飲食店は、下水道法にて排水の水質基準が定められています。
汚水の垂れ流しによる水質汚濁を防ぐためです。
そのためには、ただグリストラップを設置すればいいのではなく、排水の水質が基準を超えないように維持管理しなければなりません。
例) 1日50t以上を排出する事業所420m2以上の食堂・レストラン等対象 | |
水素イオン濃度(pH) | 5~9 |
BOD (生物化学的酸素要求量) | 600mg/L未満 |
SS (浮遊物質量) | 600mg/L未満 |
ハイモア投入後のグリストラップ槽pH変化について
ハイモアは、強塩基で加水分解し、脂肪酸を生成する段階では中和反応からイオン反応に変化するため、グリストラップ槽内のpH値は、下水に流れる段階でpH9を超えることはありません。
グリストラップ内に流れ込む、天ぷら油、サラダ油、ラード等の動植物油脂は、トリグリセルドと呼ばれ、3つの脂肪酸と1つのグリセリンが結合したものです。
トリグリセルドは、中性です。
トリグリセルドには、エステル結合と呼ばれる部分があり、アルカリで作用させるとこの結合が切れて加水分解反応が進みます。
トリグリセルドは、酸性でも分解できます。
エステル結合の中の炭素に電子対を有していない空の軌道があります。
トリグリセルドは、酸・塩基反応のルイス酸として作用する構造を持っています。
アルカリ性条件下では、水酸化物イオンが電子対を与えるルイス塩基として作用し、塩基反応が進行することによって「鹸化」が進みます。
トリグノレセルドは、アルカリによって分解されますがこれは、中和反応ではありません。
トリグルセルド(油脂、脂肪)は、アルカリによって加水分解され「脂肪酸」に生成されます。
脂肪酸は酸性です。
脂肪酸は、アルカリに接触すると直ちに「石鹸」に変わります。
これは中和反応と呼ばれます。
脂肪酸は、水に溶けにくいが、石けんになると非常に水に溶けやすく、簡単に除去できます。(グリストラップ槽内の油量減少)
油脂はエステルです。
だから塩基性物質で加水分解されます。
エステルは、水酸化カルシウム(ハイモア)のような塩基の水溶液を加えると、カルボン酸の塩(セッケン)とアルコール(炭化水素の水素原子をヒドロキシ基に置き換えた物質)に加水分解されます。
ハイモアは、グリストラップ槽内で油脂と接触して加水分解し脂肪酸を生成し、石鹸化して汚れを落としますが、強塩基で加水分解し脂肪酸を生成する段階では中和反応からイオン反応に変化するため、グリストラップ槽内のpH値は一時的にpH9を超えて殺菌洗浄消臭効果を発揮しても、下水に流れる段階ではpH9を超えることはないのです。